「あの花の名を知っている? 指をふれればぱちんとわれて、きたない汁をはじきだし、みるみる指を腐らせる、あの花の名が判ったらねえ」 僕はせせら笑い、ズボンのポケットへ両手をつっ込んでから答えた。 「こんな樹の名を知っている? その葉は散る